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頭の中で考えて行き先がないものを置いていくブログです

セ・リーグがパ・リーグより弱い理由 前編

2020年の日本シリーズはまだ2戦が終わったところですが、ソフトバンクが巨人を圧倒し、早くもなぜセ・リーグパ・リーグより弱いのかという議論が出ている状態です。

よく言われるのがセ・リーグ指名打者(DH)がないからパ・リーグより弱いというものです。

だからセ・リーグもDHを導入すべきとファン、そして当事者の巨人原監督ですら発言している状況です。

今回セ・リーグがなぜパ・リーグより弱いのか考えますが、まず言っておきたいのはセ・リーグが弱いのはDHがないからではないということです。

その根拠として私がプロ野球を見始めた1999年、約20年前あたりの記憶とデータがあります。

1999年の日本シリーズこそパ・リーグダイエーホークス(現在のソフトバンク)がセ・リーグ覇者中日ドラゴンズを下しましたが、その前後、1997、1998、2000、2001、2002年はセ・リーグ覇者がパ・リーグ覇者を下しているのとその間4勝3敗までもつれたシリーズは1つもありませんでした。

特に2002年はシーズン90勝した西武を巨人は4タテして圧倒しています。

さらに当時交流戦はありませんでしたが、オールスターでは1997年の第2戦から2000年の第3戦まで引き分けを挟んでセ・リーグが8連勝していることも根拠の1つです。

当然20年前からDHはありました。

DH制度が始まったのは1975年です。

もしDHの有無が投手、野手のレベルの差につながるのであれば1990年代後半はすでに20年以上経過しているのでその当時から差が生まれていてもおかしくないはずです。

また、DHがある方が強い理由でほとんど打てない投手が打席に入らず、打つことの専門家が代わりに入るから投手が鍛えられるというものです。

この理由自体は納得できる部分もありますが、セ・リーグ優勢であった20年前は日本シリーズになったらシーズン中は打席に立たないパ・リーグの投手が打席に立ってなれないバントなどをしないといけない、DHで試合に出ている選手を先発で使えないから普段の野球ができない、セ・リーグは投手の代わりに一人DHで野手を入れればいいだけというように普段DHがない方が有利な理由が挙げられていました。

要は勝っている方にあとから理由がついてくる状態になっています。

以上の理由でDHの有無がセ・リーグパ・リーグの差になっているというのは私は違うと考えています。

 

さて、ではなぜセ・リーグパ・リーグの差が生まれたのか少しプロ野球の歴史を遡って考えてみます。

まずセ・リーグパ・リーグの差がいつからついたのかという点を明らかにしたいと思います。

これについては人によって意見が異なると思いますが、私が明確に差がついたと感じるのは2014年です。

セ・リーグパ・リーグの差を測る指標として日本シリーズとともに語られるのが交流戦です。

この交流戦ではセ・リーグパ・リーグに2009年しか勝ち越していません。

そういった意味では2005年に交流戦が始まった段階ですでに差があったのではないかと考えるのが普通ですが、この当時はまだ競っていたと思います。

2005年は日本シリーズが33−4だったのでパ・リーグセ・リーグを圧倒したような感じですが、交流戦は1勝の差しかなくこれは2006年も同様でした。

また2000年代後半の交流戦の勝敗を見てみると当時セ・リーグで覇権を争っていた3強である巨人、中日、阪神はそれなりに貯金をつくったり、交流戦優勝を争っていたのですが、残りの3チームが1チームで交流戦の短い期間で借金10以上作ることなどが影響してセ・リーグが負け越す年もありました。

また、交流戦が始まってからの日本シリーズで考えるとパ・リーグのみプレーオフがあった2005、2006はパ・リーグ覇者がセ・リーグ覇者を圧倒していますが、セ・リーグプレーオフを導入してからは、2007年は中日が日本ハムを4勝1敗で破り、2008年は巨人が西武に敗れたものの第7戦までもつれ、翌年は巨人が日本ハムを4勝2敗で破り、2010、2011年は中日がロッテ、ソフトバンクに敗れるも第7戦までもつれ、2012年は巨人が日本ハムを4勝2敗で破り、2013年は巨人が楽天に敗れるもこれまた第7戦までもつれるといったように負けた年でも去年、今年のようなどうしようもない負け方はしていませんでした。

では私が明確にセパで差がついたと感じる2014年ですが、この年の日本シリーズはシーズン2位の阪神ソフトバンクと戦いますが、第1戦以外ほとんど良いところがなく1勝4敗で敗れます。

この年のセ・リーグを振り返ると巨人が3連覇しましたが、阿部慎之助内海哲也村田修一坂本勇人など巨人の主力が不振あるいは衰えで連覇した2012年、2013年ほどの強さがない状態でした。

しかし、その他5球団は巨人を止められず、2位の阪神もゲーム差を7つけられています。

興味のある方はこの年の巨人の各打者、投手の成績を調べてもらえればと思います。

当時2年目の菅野以外ほとんど本調子とは言い難い成績です。

それでも優勝してしまったのがこの年の巨人で、3連覇したとはいえ明らかにチーム力は落ちていました。

そして翌年ついに巨人の連覇がストップし、ヤクルトが14年ぶりに優勝するのですが、勝率は.539です。

だから何が言いたいかというとヤクルトが強かったから優勝したのではなく、巨人が弱くなって優勝が滑り込んだというわけです。

ちなみに2015年の日本シリーズはヤクルトも前年の阪神と同じくソフトバンクに1勝4敗で敗れています。

さらにその後も昨年まで第7戦までもつれたシリーズは1つもありません。

セ・リーグパ・リーグがまだ競っていた2000年代後半を振り返ると、原辰徳率いる巨人が2007年〜2009年まで3連覇します。

しかし、独走したのは2009年だけで2007年はシーズン2位の中日に本拠地東京ドームで圧倒され、プレーオフ敗退、2008年も阪神にシーズン途中で13ゲーム差つけられたものの、オリンピックも味方してなんとか優勝したシーズンでした。

このときの中日の監督は落合博満阪神岡田彰布です。

ともに投手を中心とした守備的なチームで巨大戦力である巨人に対しても怯むことはありませんでした。

岡田が退任したのが2008年、落合が退任したのが2011年、そうやって原監督のみ残して各チームのライバルたちが去っていきました。

特に中日は落合退任後に監督になったのが過去に監督で失敗していると言っていい高木守道で勝つことよりもファンサービス重視と落合を否定したいだけのようなチーム方針を球団が掲げている間に力が落ち長き暗黒時代に入ります。

ここで何が言いたいかというと2000年代後半はセ・リーグでは戦力は圧倒的に巨人が優勢でありましたが、かんたんに白旗を挙げないライバルチームが存在し、バチバチやりあっていたということです。

今のセ・リーグを見てみると、戦力も監督の能力も巨人が抜けていて、セ・リーグ優勝ということに対して、かつての落合、岡田のような執念を感じさせる監督はいません。

特に今年はどことなくあきらめムードすら漂う感じでした。

これは最近始まったことではなく、岡田、落合の両者がいなくなり、村田や杉内を補強し巨人が独走優勝した2012年のオフあたりから始まっていたことです。

結局、最大のライバル中日も2013年にBクラスに落ちて本格的に巨人を倒す、優勝への野心を明らかにする球団がセ・リーグから消えたことでリーグ全体の力が落ちたような気がします。

 

この圧倒的な巨大戦力を前にしても白旗を挙げないという点がセ・リーグパ・リーグの差になっているというのが1つ目の私の仮説です。

パ・リーグの過去を少し振り返ってみると2010年代はやはりソフトバンクの時代であったと言っていいでしょう。

2010、2011の連覇に始まり、2014、2015、2017と合計5度のリーグ優勝、リーグ優勝を上回る6度の日本一に輝いています。

このソフトバンクですが2010年代ずっと順風満帆であったわけではありません。

2013年は貯金を作ったものの4位に落ちます。

2011年の独走を支えた川崎、和田、杉内、ホールトンが一気に抜けてチーム力が低下し、2012年は3位、2013年はついにBクラスに転落してしまいました。

2013年のオフに投手ではセ・リーグから中田賢一スタンリッジ、西武と契約で揉めていた?サファテ、野手ではオリックスにいた李大浩を獲得します。

つまりローテーション2人とクローザー、そして4番打者を一気に獲得したわけです。

そして迎えた2014年、ソフトバンクの先発陣で規定投球回数に達したのは中田とスタンリッジのみ、サファテは37セーブをあげ、4番の李大浩はシーズン144試合フル出場を果たしました。

ここまで補強して2位オリックスとはゲーム差なしの優勝だったのでこの内1人でもかけていたらソフトバンクは優勝できなかったでしょう。

本格的にソフトバンクが強くなったのは2015年、工藤公康が監督になったからです。

前年した勢いと経験を活かし、リーグ連覇、その後2017年にも優勝しています。

ソフトバンクは毎年優勝候補にあげられ、球界屈指の強打者柳田を始め、最速161キロの直球にお化けフォークの千賀、甲斐キャノンで有名な甲斐、チームリーダー松田などの生え抜きに加えてグラシアル、デスパイネ、モイネロなど外国人も優秀な選手が揃っている巨大戦力です。

おそらく普通にやればシーズンで勝率6割近くは勝てる戦力だと思います。

実際工藤監督就任後のソフトバンクの最低勝率は柳田がシーズンのほとんど離脱していた昨年2019年の.551です。

しかし、そんな強いソフトバンクも2016、2018、2019とリーグ優勝を逃しています。

これは優勝した日本ハム、西武が優勝を諦めなかったことが最大の要因であると考えます。

さらにパ・リーグはこの2チーム以外も優勝を簡単に諦めていないなと感じることが多いです。

例えば昨年のオフ、ロッテと楽天が大胆な補強をしてそれが話題になっていました。

ロッテは2018年オフに丸佳浩獲得にも動いており、とにかく戦力面でまずはソフトバンクに見劣りしないように意識しているのではないかと思います。

最下位のオリックスでさえ、メジャーリーグの大物アダム・ジョーンズを連れてくるなどセ・リーグの球団がやらないような補強が多いです。

オリックスはギリギリ優勝を逃した2014年オフにも大胆な補強をしています。

失敗していますが優勝へのフロントの執念はまだ感じます。

 

対してセ・リーグはどうだったか?

2015年に原監督退任後、2016年〜2018年まで広島が3連覇しますが、対抗できるチームはなく、広島が強かったのか、他が弱かったのか今となってはわからないです。

その間も優勝のために補強に積極的に動いていたのは巨人くらいで2000年代後半の中日や阪神のような限られた戦力でも優勝してやるという野心を感じる球団もありませんでした。

そして丸がFAで巨人に移り、広島も弱体化、その他のチームはそのままで原監督が復帰した巨人が弱体化した広島の代わりに久しぶりに優勝しますが、勝率は.546で2015年のヤクルトと同様強いから優勝したというより他に強いチームがいなかったような優勝でした。

巨人は今年連覇しました。シーズン途中に高梨やウィーラーなどトレードで獲得し、補強もしっかり行っています。

それでもソフトバンクに圧倒されているのが現状です。

これは巨人が悪いといより、はじめから負け組になっているセ・リーグ5球団がもっとしっかりしないといけないと思います。

巨人はシーズン中はイージーモードでプレーしていきなりハードモードの敵と戦うようなものでそりゃ対応できないよなというのが今年の日本シリーズ2戦目まで見た感想です。

だから来年、セ・リーグの巨人を除く5球団は今年の強さを巨人が維持してもそれでもそれに打ち勝つ気合を見せてほしいし、それがないとパ・リーグとの差は一生埋まらないと思います。

本当は一つの記事にまとめるつもりでしたが、セ・リーグからパ・リーグに移籍した選手のその後を見てもしかしたら今回述べた点とまた別の要素もあると感じそれは後編にまとめます。

 

それでは!